モーフのクロストーク その3:ケーススタディ rg WetTshirt

Category : Tips
これまでベースフィギュアと服(コンフォームフィギュア)間でモーフパラメータを連動させる仕組み、モーフのクロストークについて調べてきました。基本的な事はだいたい網羅したと思うのですが、ERCの組み方によってDAZ Studio(以下DS)でクロストークを働かせるための修正法も変わってきます。
今回は独特なERCの組み方がしてある服を例にして、それをDSでクロストークが働くようにしてみます。
※CR2ファイルを大胆に書き換えていきますので、オリジナルファイルのバックアップは必ず行っておいて下さい。

crosstalk3 SS

■ケーススタディ rg WetTshirt

さて今回のDSでも使いた~い服は『rg WetTshirt for V4A4G4Elite』です。水に濡れたシャツというフェティシズムあふれる服で、しかもそれをほぼテクスチャワークのみで表現しているというDSにもやさしいものです。さらにこの服はMorph++、A4、G4、Eliteの多くのモーフに対応していたり、GND4キャラクターとNGMへのフィットモーフもあったり、服のしわを作るモーフがあったりと非常にたくさんのモーフを実装しています。

この服はPoserではクロストークが働きます。一方DS用のマテリアルが付属しているものの、DSではクロストークは働かず、手動でモーフを調整する必要があります。また、DSではGND4とNGMに対するフィットモーフは各部位を手動で調整する必要があります。
そこでこの服をDSで完全に使えるようにしてみましょう。

まずこの服のチェックポイントを確認すると次のようになっています。

 フィギュア番号: 1
 BODYのモーフ内部名: 不一致
 各部位のモーフ内部名: 一致
 ERCの参照先フィギュア番号: なしと1
 JCMの参照先フィギュア番号: なし

特徴的なのは、BODYのFBMの内部名にrgが付いている(rgFBMVoluptuousなど)事です。同時に、各部位のERCはBODY:1のrgFBMを参照先にしたものと、BODYのFBMを参照先にしたものの2種類が連続して記述されています。これはベースフィギュアとクロストークを行いつつ服のFBMで微調整を行えるようにするための仕組みで、前者は服のFBMとして、後者はベースフィギュアのFBMとリンクしてクロストークが働くようになっています。
Poserではそのように働くのですが、DSだと後者のERCは動作しません。

とりあえずこの服をV4に着せてみました。V4にはVoluptuous 1.0とNGM_B 1.0のモーフを適用しています。
※ここで予備知識ですが、NGM_V4はFBMがあるものの付属のプリセット(NGM_Aなど)はchestのモーフパラメータを操作するようになっています。DSだとそれでは具合が悪いので、BODYのモーフパラメータを操作する事をオススメします。ただしRelax1などの一部モーフはFBMが操作できるようになっていません(FBM自体はあるようです)。

crosstalk3 rgWetT1

クロストークが働かないのでこんな状態です。一応服のFBMを手動で操作してフィットさせる事はできますが、NGMについてはちょっとおかしな動作をしてしまいます(実は服のabdomenにあるNGMだけはベースフィギュアのchestと連動しているのです)。


■FBMの追加

最初にDSでもクロストークが働くようにしましょう。
この服のクロストークがDSでは動作しない原因はクロストーク用のERCの参照先となるFBMが服に無いという点にあります。
そこで、『CR2Builder』を使ってFBMを追加します。
※もっと効率の良いFBM追加法があると思いますが、私は知りませんのでちょっと工数が多くなっていると思います。

 (1)左ページでこの服のCR2ファイルを開きます。
 (2)RightPageメニューで New>Empty を実行して新しい右ページを作成します。
 (3)右ページ上で右クリックメニューの AddChild を2回実行します。
 (4)左ページの actor BODY:1 > channels を開き、rgFBMとrgPBMの接頭句が付いているものすべてを選択して右ページの一番下の行へドラッグ&ドロップします。「Are Copy Targets are selected」というダイアログが出現する場合は「いいえ」を選んで下さい。左ページの選択時にはShiftキーによる複数選択が可能です。また、rgSCLというスケールパラメータはDSでは必要ないと思われますので飛ばします。
crosstalk3 cr2builder1

 (5)右ページを一度クリックしてからSubWinメニューの New FormGrep を実行します。
 (6)FormGrepウィンドウでGrepタブのkeyword「 rg」(半角スペースrg)でNew Grepを行い、Replaceタブに移動してkeyword欄の右のFrom Grepボタンをクリック、Replace欄に「 」(半角スペース)を入力、Replaceボタン、Set Link TNボタンを順にクリックします。これでvalueParmのモーフ内部名がrg無しのものに置換されます。
crosstalk3 cr2 grep1

 (7)FormGrepウィンドウでもう一度置換作業を行います。今度は「hidden 0」を「hidden 1」へ置換して下さい。
crosstalk3 cr2 grep2

 (8)FormGrepウィンドウを閉じます。
 (9)右ページに戻り、一度一番上の行(noname.txtと書いてある行)を選択し、EditメニューからUnExpandを実行してツリーを全て閉じます。そしてその行の三角アイコンをクリックして、1階層だけツリーを開きます。
 (10)右ページのvalueParmをすべて選択して左ページのモーフチャンネルの一番下の行へD&Dします。
crosstalk3 cr2builder2

今度はグループ(モーフパラメータをどのグループに属させるかのリスト)もコピーしてやります。上の(2)(3)番の通りに再び右ページを作って下さい。続きます。
※SubWinメニューがなくなってしまった場合は、タブを一度切り替えて戻すと復活します。

 (4)左ページの actor BODY:1 > channels > groups を開き、「groupNode Morphs | Shapes」と「groupNode INJection Channels」とをCtrlキーで複数選択して右ページの一番下の行へドラッグ&ドロップします。
crosstalk3 cr2builder3

 (5)右ページを一度クリックしてからSubWinメニューの New FormGrep を実行します。
 (6)FormGrepウィンドウでGrepタブのキーワード「 rg」(半角スペースrg)でNew Grepを行い、Replaceタブに移動してキーワード欄の右のFrom Grepボタンをクリック、Replace欄に「 」(半角スペース)を入力、Replaceボタン、Set Link TNボタンを順にクリックします。
 (7)右ページに戻り、先頭の方の行「groupNode Male」を左ページの「groupNode roogna」の行へD&Dします。そして名前を「groupNode FBMs」などのユニークなものに変更して下さい。
crosstalk3 cr2builder4

 (8)右ページの「groupNode Full Body」の行以下の「ParmNode FBM~」「ParmNode PBM~」となっている行すべてを左ページの「groupNode FBMs」内の一番下の行へD&Dしていきます。
crosstalk3 cr2builder5

仕上げとして、左ページで「BODY:1」を「BODY」に置換します(FormGrepウィンドウを一度閉じないとダメだと思います)。その際FormGrepウィンドウでLevelオプションを4に指定すれば、モーフチャンネル内の単語のみがヒットするようになります(「actor」や「parent」を含んだ行や「root」を含んだ行以降は除外されます)。

左ページを保存して完了です。服の3パーツ全てに同じ様に置換作業を行って下さい。
追加したモーフチャンネルを隠す設定にしたのは、rg~のFBMとラベルが同じなので混乱しないようにするためです。グループをユニークなものにまとめたのも同じ理由です。こちらはDSで同じグループで同じラベルのパラメータは1つしか表示されない仕様を避けるためでもあります。

これでDSでもクロストークが働くようになりました。ただし、NGM(GND4モーフも)は連動していないので胸だけはみ出してしまっています。
※PBMCCについてはどんなモーフが追加されるかは不確定なので、クロストークするのを避けるためにクロストーク用のFBMは追加しない(手動でのフィットのみ)という方法を取るのもアリだと思います。

crosstalk3 rgWetT2


■特殊モーフのERC記述の変更

DSでこの服を読み込んだ時に、ログには2種類のエラーが表示されます。そのうちの一つが以下のようなものです(ファイルパスは省略しています)。

Attempted to create circular ERC: PBMCC_01:GND4 => abdomen:PBMCC_01 on line 20304 in rgV4WetBra.cr2


このメッセージは「ERCがループしているよ」というエラーで、ERCがそれ自身を含むパラメータを参照先にしていると発生するものです。PoserではERC参照先フィギュア番号が無い場合はベースフィギュアを指しますが、DSではその服自身を指します。そのため、Poserでは問題にならない記述もDSではこのようになってしまうわけです。

このケースでは各部位のGND4とNGM_V4とSmoothYT(製品不明)のフィットモーフがそれと同じ部位を指してしまうものがあるため発生しています。そこで、参照先を部位ではなくBODYへ変更してやります。部位を指しているのは先ほど説明したようなNGM_V4の事情などが原因だと思われますが、DSでは弊害の方が多いので思い切って書き換えてしまいます。

書き換えが必要なのは服の各部位にある「targetGeom PBMCC」とついているモーフチャンネルです。
その中の参照先パラメータがrgの付いていないモーフを指しているERCの参照先部位を「BODY」に変更していきます。書き換えは『CR2Builder』を使うのが便利です。
crosstalk3 cr2builder6

これでNGM_V4やGND4モーフに対してもクロストークが働くようになりました(FBMの存在しない一部モーフに対しては手動でフィットさせてやる必要があります)。
胸の内側部分が服を突き破っているのは、クロストークとは別の問題です。ちょっとモーフパラメータを盛りすぎました。
※これらのモーフをクロストークさせないようにするには、参照先をBODYに置換する代わりにそのERC記述を削除して下さい。その際rgPBMCC~宛のERC記述のみが残るようにします。

crosstalk3 rgWetT3


■不要な連結パラメータの削除

この項目は特に必要ないものですが、エラーが気になる方は行ってみて下さい。
DSで発生するもう一つのエラーが以下のようなものです(ファイルパスは省略しています)。

No bone found for otherActor on line 2229 in rgV4WetBra.cr2


これは、otherActorという記述で服に無いボーン(ジョイント)を指していると発生するエラーです。特に服の末端(neckやlThighなど)で発生する事が多いもので、服には存在しないその先のボーンとの連結パラメータ記述が残っているためのものと考えられます。残しておいても特に不具合は発生しないものです。

でもやっぱりエラーが気になるという方のために修正方法を書いておきます。

 (1)『CR2Builder』で服のCR2ファイルを開きます。
 (2)服の末端に当たる部位のchannelsを開きます。ここではrgWetTshirt.cr2のactor neck:1 > channels を開きました。
 (3)「twistY head_twisty」「twistZ head_twistz」「smoothScaleY head_smooY」はどれも服には無いhead:1との間のパラメータですので、選択後Deleteキーを押して全部削除してしまいます。
crosstalk3 cr2builder7

 (4)rShldr:1、lShldr:1、rShin:1、lShin:1でも同じ様に存在しないボーンを冠しているチャンネルを削除します。くれぐれも必要なものまで消してしまわないように気を付けて下さい。

これでエラーは出なくなりました。画像は変わりませんので省略します。
以上で『rg WetTshirt for V4A4G4Elite』のDS向けCR2修正は完了です。ベースフィギュアとのモーフのクロストークが働くようになっただけでなく、服のFBMを微調整することもできるようになりました。もちろん、Poserでも今まで通り動作します。
このERCを服のFBM用とクロストーク用の2つ記述するという方法は他のベンダーの服でもたまに見るのですが、リンクした服のFBMが操作できなくなるというクロストークの欠点が解消されるので、もっと使うベンダーが増えたらいいのにと思います。本当は調整モーフがあればそれが一番なんですけどね。


■今日の一枚

早速修正した服を使ってシーンを作成しました。
シャツはしわがよる分でこぼこになってしまうので、SubDに変換してスムースなサーフェイスになるようにしています。
室内照明はとうふさんのチュートリアルソフトライトを使った室内照明(その1)を参考にさせていただきました。

水の冷たさ
Character:Mayuka for V4A4
skin effect:Universal Wet Maps and Orcamaid
Hair:Hermes Hair
Costume:rg WetTshirt for V4A4G4Elite
Shader:UberSoft Lighting Kit
Environment:Dream Home: Master Bathroom , Dream Home: Master Bathroom Fixtures




今回の画像の素材はこちら
AD Mayuka for V4A4
Mayuka for V4A4


Hermes Hair

Universal Wet Maps and Orcamaid

Dream Home: Master Bathroom

Dream Home: Master Bathroom Fixtures

UberSoft Lighting Kit

NGM for V4



Comment

おかげさまで

クロストークばっちり動作しました^^v
詳しい説明をありがとうございます。

しかし、レンダリング綺麗ですね~!!!

Re: おかげさまで

Chocolateさんお褒めの言葉ありがとうございます。
照明でがらっと印象が変わってしまうので、ライティングはほんとに難しいですね。

実際に服を作っている方からのご報告はとてもありがたいです。
ブログを拝見すると、以前製作された服にも手を入れられているご様子。DSを主に使っている私としてはとてもうれしいのですが、その反面、余分な労力を強いてしまったのではないかと恐縮しています。

ところで、くのいち衣装とってもかわいいですね。発売開始を楽しみにしていますよ~^^

こんばんは。ブログ記事へのリンクありがとうございます。(´∀`*)
OtherActorのエラーはちょっと気になりますよね。私の持っている服でもこれが出るものがあったんですが、実害がないので放置してました。なるほど、ボーンパラメータが原因だったんですね。参考になります。(;´∀`)

とうふさんコメントありがとうございます。
実害のないotherActorのよりもERCの参照先ボーンが無いメッセージが出た方が何倍も助かるのに、こちらは出ないんですよね。
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