Content Creator Toolkit その7:ERC Freezeでコントロール・プロパティを作る
Category : Content Creator Toolkit
DAZ Studio 4(DS4)用のフィギュア・セットアップツール『Content Creator Toolkit(CCT)』解説の第7回は、Property Hierarchyタブ(旧Property Editorタブ)の機能の一つ、「ERC Freeze」について書きたいと思います。
Property Hierarchyタブでは、ParametersタブのEditモードと併用することで、フィギュアの各ノードのプロパティを編集することができます。特に、他のプロパティを操作するERCリンクを作成するのは、このタブの重要な役割です。
さて、GenesisフィギュアにはPose Controlsというプロパティ・グループがあります。このグループに属するプロパティはPosingタブまたはParametersタブで操作することができ、それによって複数のノードの回転を同時にコントロールできるようになっています。例えば、両目を上下させたり、上体を曲げたりです。
今回はそのコントロール・プロパティを簡単に作成することができる「ERC Freeze」の使い方を解説します。
ところで「プロパティ」ってどういうものを指すのでしょうか。私もあいまいで、「パラメータ」とごっちゃになることも多く、記事に書くたびに戸惑ってしまいます。今の私の認識では、例えばフィギュアを選択した時にParametersタブに「X Rotate」と出る部分がプロパティで、「60」と出る部分がパラメータではないかなあと思っています。
今回の記事の内容はDAZ 3D DOCSのこのページを参考にしています。

※DAZ 3D DOCSサイトのURLを修正しました。(2012.2.24)
※DAZ Studio 4.5以降の内容に合わせて記事の追記・修正をしました。(2015.1.23)
■Pose Controlsの作成
例として『Fantasy Wrap for Genesis』という服を使って、これにコントロール・プロパティを作成します。この服は『Classics Bundle for Genesis』というV4用の服をGenesisに着せることができるようにリファインしたバンドル製品に含まれるものです。
この服のように前垂れや腰紐、スカートなどがあるものは、ベースフィギュアに追従して動くボーン以外に、自由に動かせるボーン(エクストラボーン)が仕込まれていることがあります。この服では前垂れ、後垂れ、腰紐の垂れている2本、それぞれに25本以上のボーンがあります。

これらを回転させることで長い垂れを自由に動かすことができるのですが、1本1本手作業で動きを付けるのでは気が遠くなってしまいます。複数選択して一括で回転角度を設定しようとしても、選択する手間がかかったり、統一感のある動きにするのは難しいという問題があります。また、ボーンの末端を移動させてIK(インバース・キネマティクス)によって動きを付けようとしても、DSで自動設定されるIKはこのような多関節に弱く、メッシュがむちゃくちゃになってしまいます。
そこで活躍するのがコントロール・プロパティです。例えば「前垂れをカールさせる」というコントロール・プロパティ1つを操作することで、前垂れに仕込まれた25本のボーン全てがX回転するようにできます。実はこの服のV4版である『Fantasy Wrap for V4』にはそれがありました。Genesis版に無いのは残念なことですが、無いなら作ってしまいましょう。
『Fantasy Wrap for Genesis』の前垂れにあるボーンfront01~front25の動きを制御するためのコントロール・プロパティを一つ作成する流れを順にご説明します。
(1)前準備として衣服のポーズを初期値に戻します。衣服フィギュアを選択し、PosingタブまたはParametersタブのオプションメニューから Restore > Restore Figure Pose を実行して下さい。


(2)ボーンを回転させてポーズを付けます。今回はfront01~front25をSceneタブでShiftキーを使って複数選択し、PosingタブまたはParametersタブでX Rotateを2にしました。

(3)ERC Freezeウィンドウを起動します。Property Hierarchyタブのリスト上を右クリックして出現するメニューからERC Freezeを実行して下さい。
※このタブには選択したオブジェクトのノード-プロパティリストが表示されます。

(4)このウィンドウではまず、Node欄でコントロール・プロパティを作成するノードを選択します。だいたいはルートノード(フィギュア名)でいいと思います。GenesisフィギュアにはHeadやHandにもコントロール・プロパティがありますね。

(5)プロパティを新規作成しますので、Property欄の右にある「Create New...」ボタンをクリックします。するとプロパティ作成ウィンドウが出現しますので、次のようにしてCreateボタンをクリックして下さい。
Name: CTRLFrontBendAll
Label: Front BendAll
Path: Pose Controls(すでにグループがある場合は右の▼ボタンから選択できます)
Use Limits(Numeric Attributes): No
Nameが内部名(Internal Name)で、LabelがParametersタブなどに表示される名前になります。Genesisフィギュアでの慣習では、コントロール・プロパティのNameには頭にCTRLと付け、スペースは入れないとなっているようです。プロパティが多い場合はPathをPose Controls/Frontなどのようにさらにサブグループを作っておくのもいいかもしれません。

(6)ERC Freezeウィンドウに戻ると、Property欄に先ほど作成したプロパティが選択されています。また、Freeze Propertiesエリアには初期値から変更のあった衣服フィギュアのプロパティが全てリストアップされます。チェックの付いているものが含まれることになりますので、確認して下さい。Additional Optionsエリアでは追加の処理を決めることができます。私のオススメは「Apply Control Property」のチェックを外すことです。

(7)Acceptボタンをクリックするとコントロール・プロパティが作成され、ポーズが初期値に戻ります(Restore Figureがかけられます)。
(8)プロパティを作成したノードを選択し、Parametersタブを確認して下さい。スライダを動かしてみると、先ほど設定したノード全てが回転するはずです。100%にすると先ほど設定した角度まで回転します。リミットオフにしてあるので、同じ比率でさらに回転させることができます。

同じようにしてS(ide-)SideやTwist、さらに後垂れや腰紐にもプロパティを作成すれば、これらのコントロール・プロパティの操作だけで、衣服にいろんな動きを付けることが可能になります。また、コントロール・プロパティで操作できるのは回転だけではなく、モーフ・パラメータなどもOKです。
■ERC Freezeオプション
ERC Freezeウィンドウの設定は次のような内容になっています。

■今日の一枚
コントロール・プロパティを追加した『Fantasy Wrap for Genesis』とV5フィギュアを使ってレンダリングしてみました。裏地のある服は裏地が表に突き出てしまう部分が出るので、Smoothing Modifierと相性が悪いみたいですね。

今回作成した『Fantasy Wrap for Genesis』用のコントロール・プロパティだけをファイル化しました。この製品を持っている方は使ってみて下さい。もしも公式にバージョンアップしてコントロール・プロパティが追加されるようであれば、私の作成した分は削除してからアップデートして下さい。
DS4から採用されたdsfファイルは1プロパティ1ファイルという仕様なので、後からモーフなどの追加が容易です。保存方法についてはまた別の記事で解説する予定です。
今回のツールと画像の素材はこちら
Property Hierarchyタブでは、ParametersタブのEditモードと併用することで、フィギュアの各ノードのプロパティを編集することができます。特に、他のプロパティを操作するERCリンクを作成するのは、このタブの重要な役割です。
さて、GenesisフィギュアにはPose Controlsというプロパティ・グループがあります。このグループに属するプロパティはPosingタブまたはParametersタブで操作することができ、それによって複数のノードの回転を同時にコントロールできるようになっています。例えば、両目を上下させたり、上体を曲げたりです。
今回はそのコントロール・プロパティを簡単に作成することができる「ERC Freeze」の使い方を解説します。
ところで「プロパティ」ってどういうものを指すのでしょうか。私もあいまいで、「パラメータ」とごっちゃになることも多く、記事に書くたびに戸惑ってしまいます。今の私の認識では、例えばフィギュアを選択した時にParametersタブに「X Rotate」と出る部分がプロパティで、「60」と出る部分がパラメータではないかなあと思っています。
今回の記事の内容はDAZ 3D DOCSのこのページを参考にしています。

※DAZ 3D DOCSサイトのURLを修正しました。(2012.2.24)
※DAZ Studio 4.5以降の内容に合わせて記事の追記・修正をしました。(2015.1.23)
■Pose Controlsの作成
例として『Fantasy Wrap for Genesis』という服を使って、これにコントロール・プロパティを作成します。この服は『Classics Bundle for Genesis』というV4用の服をGenesisに着せることができるようにリファインしたバンドル製品に含まれるものです。
この服のように前垂れや腰紐、スカートなどがあるものは、ベースフィギュアに追従して動くボーン以外に、自由に動かせるボーン(エクストラボーン)が仕込まれていることがあります。この服では前垂れ、後垂れ、腰紐の垂れている2本、それぞれに25本以上のボーンがあります。

これらを回転させることで長い垂れを自由に動かすことができるのですが、1本1本手作業で動きを付けるのでは気が遠くなってしまいます。複数選択して一括で回転角度を設定しようとしても、選択する手間がかかったり、統一感のある動きにするのは難しいという問題があります。また、ボーンの末端を移動させてIK(インバース・キネマティクス)によって動きを付けようとしても、DSで自動設定されるIKはこのような多関節に弱く、メッシュがむちゃくちゃになってしまいます。
そこで活躍するのがコントロール・プロパティです。例えば「前垂れをカールさせる」というコントロール・プロパティ1つを操作することで、前垂れに仕込まれた25本のボーン全てがX回転するようにできます。実はこの服のV4版である『Fantasy Wrap for V4』にはそれがありました。Genesis版に無いのは残念なことですが、無いなら作ってしまいましょう。
『Fantasy Wrap for Genesis』の前垂れにあるボーンfront01~front25の動きを制御するためのコントロール・プロパティを一つ作成する流れを順にご説明します。
(1)前準備として衣服のポーズを初期値に戻します。衣服フィギュアを選択し、PosingタブまたはParametersタブのオプションメニューから Restore > Restore Figure Pose を実行して下さい。


(2)ボーンを回転させてポーズを付けます。今回はfront01~front25をSceneタブでShiftキーを使って複数選択し、PosingタブまたはParametersタブでX Rotateを2にしました。

(3)ERC Freezeウィンドウを起動します。Property Hierarchyタブのリスト上を右クリックして出現するメニューからERC Freezeを実行して下さい。
※このタブには選択したオブジェクトのノード-プロパティリストが表示されます。

(4)このウィンドウではまず、Node欄でコントロール・プロパティを作成するノードを選択します。だいたいはルートノード(フィギュア名)でいいと思います。GenesisフィギュアにはHeadやHandにもコントロール・プロパティがありますね。

(5)プロパティを新規作成しますので、Property欄の右にある「Create New...」ボタンをクリックします。するとプロパティ作成ウィンドウが出現しますので、次のようにしてCreateボタンをクリックして下さい。
Name: CTRLFrontBendAll
Label: Front BendAll
Path: Pose Controls(すでにグループがある場合は右の▼ボタンから選択できます)
Use Limits(Numeric Attributes): No
Nameが内部名(Internal Name)で、LabelがParametersタブなどに表示される名前になります。Genesisフィギュアでの慣習では、コントロール・プロパティのNameには頭にCTRLと付け、スペースは入れないとなっているようです。プロパティが多い場合はPathをPose Controls/Frontなどのようにさらにサブグループを作っておくのもいいかもしれません。

(6)ERC Freezeウィンドウに戻ると、Property欄に先ほど作成したプロパティが選択されています。また、Freeze Propertiesエリアには初期値から変更のあった衣服フィギュアのプロパティが全てリストアップされます。チェックの付いているものが含まれることになりますので、確認して下さい。Additional Optionsエリアでは追加の処理を決めることができます。私のオススメは「Apply Control Property」のチェックを外すことです。

(7)Acceptボタンをクリックするとコントロール・プロパティが作成され、ポーズが初期値に戻ります(Restore Figureがかけられます)。
(8)プロパティを作成したノードを選択し、Parametersタブを確認して下さい。スライダを動かしてみると、先ほど設定したノード全てが回転するはずです。100%にすると先ほど設定した角度まで回転します。リミットオフにしてあるので、同じ比率でさらに回転させることができます。

同じようにしてS(ide-)SideやTwist、さらに後垂れや腰紐にもプロパティを作成すれば、これらのコントロール・プロパティの操作だけで、衣服にいろんな動きを付けることが可能になります。また、コントロール・プロパティで操作できるのは回転だけではなく、モーフ・パラメータなどもOKです。
■ERC Freezeオプション
ERC Freezeウィンドウの設定は次のような内容になっています。

・Control Property Selection | 作成するコントロール・プロパティの選択 |
・Node | コントロール・プロパティを作成するノード |
・Property | プロパティ名 |
・Freeze Properties | 初期値から変化したプロパティのリスト |
・Additional Options | 追加オプション |
・Restore Figure | ノードの初期値をパラメータ0にする。チェックを入れないと現在の状態がパラメータ0となってしまう |
・Apply Control Property | 作成したコントロール・プロパティのパラメータを1にする |
・Restore Figure Rigging |
■今日の一枚
コントロール・プロパティを追加した『Fantasy Wrap for Genesis』とV5フィギュアを使ってレンダリングしてみました。裏地のある服は裏地が表に突き出てしまう部分が出るので、Smoothing Modifierと相性が悪いみたいですね。

Character: | Genesis : Victoria5 |
---|---|
Hair: | Radiant Jaguar Hair for Genesis |
Costume: | Fantasy Wrap for Genesis , V4 Fantasy Wrap Textures |
Light: | UberEnvironment2 |
今回作成した『Fantasy Wrap for Genesis』用のコントロール・プロパティだけをファイル化しました。この製品を持っている方は使ってみて下さい。もしも公式にバージョンアップしてコントロール・プロパティが追加されるようであれば、私の作成した分は削除してからアップデートして下さい。
DS4から採用されたdsfファイルは1プロパティ1ファイルという仕様なので、後からモーフなどの追加が容易です。保存方法についてはまた別の記事で解説する予定です。
今回のツールと画像の素材はこちら
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