Look At My Hair その3:毛玉を作る
Category : Look At My Hair
DAZ Studio 4.5用のファープラグイン『Look At My Hair(LAMH)』の解説第3回です。
前回が機能の説明だけだったので、今回は実際にそれらの機能を使ってみるチュートリアルの形で書きたいと思います。まずは簡単なものからということで、球体に毛を生やしただけの毛玉を作ります。

■毛包、ガイドヘア、ファーの関係
まずはファー独自の概念である毛包、ガイドヘア、ファーの関係について簡単に書いておきたいと思います。
◆毛包(follicle)

赤く色づいたポリゴンとして表示されます。
◆ガイドヘア(guide hair)

青いラインとして表示されます。
毛包の各頂点から法線方向へ伸びています。
ガイドヘアには関節があり、自由な弧を描くことが可能です。
◆ファー(hair)

黄色いラインとして表示されます。
毛包の範囲から、ガイドヘアの形を基準として大量に伸びています。
ガイドヘアの1本を傾けると、その隣のガイドヘアとの間にあるファーがモーフィングするようにだんだんと形が変わっていっているのがわかります。

ちなみにガイドヘアの変形をギザギザにしてしまっても、DSへRenderman Curve出力してレンダリングすると滑らかな曲線として描かれます。
■毛玉を作る
LAMHでの毛包の指定、ガイドヘアのスタイリング例として毛玉を作ってみます。
(1)DSのメインメニューから Create > New Primitive を実行し、球体のプリミティブを作成します。ガイドヘアの数を減らすため、次のようなオプションにしました。

作成後Parametersタブなどで、SelectableのOn/Offボタンを何度かポチポチするなどして、作業履歴を作っておきます(アンドゥ誤操作対策)。
(2)続いてメインメニューから Create > New 'Look At My Hair' Object を実行し、LAMHウィンドウを起動します。以下はそのウィンドウでの作業です。

(3)「select and import objects from Studio」アイコンをクリックして球体オブジェクトを呼び出します。


(4)最初はFOLLICLEモードになっていますので、そのまま毛包の設定をしましょう。今回は球体全体から毛を生やすので「add all follicles」アイコンをクリックします。

球体の全ポリゴンが毛包に指定されました。

(5)ガイドヘアを生やします。STYLINGモードの「grow guide hair」アイコンをクリックします。

球体の全頂点から青いガイドヘアが生えました。

(6)重力で毛が垂れ下がったようにしたいところですが、いきなりブラシでスタイリングするのではなく、デフォーマを使ってだいたいの形に整えます。
「spherize」のスライダをマウスで右端まで引っ張ってから離します。


(7)下半分はこのくらいで良いですが、上半分はもっと垂れた状態にしたいところです。そこで、「select by surface」アイコンをクリックしてclip objectsウィンドウを出します。


上半分でオブジェクトの中心軸を基準にしたクリッピング、下半分でノードによるクリッピングができます。今回は上のリストからTopを選択します。
このウィンドウは出したまま他の作業ができるようになっていますので、必要なくなったら閉じて下さい。
これで下半分のガイドヘアの色が薄くなり、操作対象から外されます。

(8)もう一度「spherize」のスライダをマウスで今度は半分ほど引っ張ってから離します。

上半分だけがより垂れ下がります。

(9)再び「select by surface」アイコンをクリックしてclip objectsウィンドウを出し、「reset clipping」アイコンをクリックして元の状態に戻します。
(10)全体的に良い感じに垂れ下がりましたが、球体の一番上と一番下にあるガイドヘアはちょっと邪魔ですね。今度はブラシでスタイリングしてみましょう。

一番下のガイドヘアは先端を引っ張って真っ直ぐに伸ばしてやりましょう。ブラシサイズが大きすぎる場合は、スペースキーを押している間表示されるオンスクリーンディスプレイの「brush size」スライダで調節できます。

ブラシでガイドヘアをスタイリングする時、青いラインが画面手前方向に向いている状態ではなく、横方向や上下方向へ向くようにカメラを回転させてからにするのがコツです。
(11)一番上のガイドヘアは切って短くしてしまいましょう。Shiftキーを押しながらガイドヘアの先端をクリックしていきます。

※ヘアポイントをうまくクリックできれば、いきなり毛の根元からカットすることもできます。
(12)カメラを回転させてガイドヘアの生え方をチェックしていきます。上から見ると味気ない生え方ですね。

そこで、デフォーマの「swirl」のスライダを右へ3分の1ぐらい引っ張ってから離します。

リム方向へも変化が付きました。

(13)「preview hair」アイコンをクリックしてファーのプレビューをオンにします。そしてカメラを回転させてファーがどのような状態になるかをチェックします。


(14)ガイドヘアの数が少ないので、全体的にカクカクしてますね。「random length」のスライダを4分の1ぐらい右に移動させ、ファーの長さを不均一にします。


(15)さらに縮れ毛エフェクトも入れてしまいましょう。「Frizz tips」のタブをクリックして、intensity、frequency、varianceのスライダをプレビューされたファーを見つつすこしだけ右に移動させます。


(16)最後にファーの色を設定します。LAMHウィンドウ右上のアイコン郡から「setup current hair groups」をクリックして「materials setup」ウィンドウを開きます。

「Color presets」のドロップダウンメニューからTerra Cottaを選択して色のプリセットを適用します。
するとメニュー左の3つの色指定に選択したプリセットの色が設定されます。直接ココをクリックして色を変更することもできます。ちなみに3色あるのは左から毛の根元の色、毛先の色、スペキュラの色となっています。

「update materials and exit」アイコンをクリックして設定を完了します。
(17)DSへファーをエクスポートしましょう。「export hair」アイコンをクリックしてオプションウィンドウを出します。今回はデフォルトのまま出力しました。

(18)DSのウィンドウへ戻り、ライトやカメラを設定してレンダリングするとこんな感じになりました。

うーん、思い描いてたのと違う…。
でもここであきらめないでください!大丈夫です。
(19)ファーを太い毛にしましょう。LAMHウィンドウに戻り、再び「materials setup」ウィンドウを開きます。

上端のアイコン郡の次の列が毛の太さの設定です。
1mm=1000micronなので思い切ってroot 1000、tip 800、w% 30にしました。
「update materials and exit」アイコンをクリックして設定を完了します。
(20)またDSへエクスポートするのですが、毛を太くしたので本数を減らします。今回はオプションダイアログで「hair quantity」に3000を入力してEnterキーを押し、ファーの本数(総数)を変更して出力しました。

(21)DSでレンダリングすると今度はこんな感じです。

存在感が出てきました。最後にDSの方で球体とファーのマテリアルを調整してフィニッシュしました。

ライトはsoftnessを入れたDistantライト(レイトレースシャドウ)1灯と暗部の明るさを上げるためのUberEnvironment2(ソフトAO)を使っています。
実験として毛を細くして100000本にしたものもレンダリングしてみました。

3000本の時のレンダリング時間が49秒なのに対してこちらは11分57秒もかかってしまいました。
毛を細くすると描画がざらざらしてしまうので、Render Settingsタブの設定をpixel samples XYともに8に上げてあります。
今回のツールはこちら
前回が機能の説明だけだったので、今回は実際にそれらの機能を使ってみるチュートリアルの形で書きたいと思います。まずは簡単なものからということで、球体に毛を生やしただけの毛玉を作ります。

■毛包、ガイドヘア、ファーの関係
まずはファー独自の概念である毛包、ガイドヘア、ファーの関係について簡単に書いておきたいと思います。
◆毛包(follicle)

赤く色づいたポリゴンとして表示されます。
◆ガイドヘア(guide hair)

青いラインとして表示されます。
毛包の各頂点から法線方向へ伸びています。
ガイドヘアには関節があり、自由な弧を描くことが可能です。
◆ファー(hair)

黄色いラインとして表示されます。
毛包の範囲から、ガイドヘアの形を基準として大量に伸びています。
ガイドヘアの1本を傾けると、その隣のガイドヘアとの間にあるファーがモーフィングするようにだんだんと形が変わっていっているのがわかります。

ちなみにガイドヘアの変形をギザギザにしてしまっても、DSへRenderman Curve出力してレンダリングすると滑らかな曲線として描かれます。
■毛玉を作る
LAMHでの毛包の指定、ガイドヘアのスタイリング例として毛玉を作ってみます。
(1)DSのメインメニューから Create > New Primitive を実行し、球体のプリミティブを作成します。ガイドヘアの数を減らすため、次のようなオプションにしました。

作成後Parametersタブなどで、SelectableのOn/Offボタンを何度かポチポチするなどして、作業履歴を作っておきます(アンドゥ誤操作対策)。
(2)続いてメインメニューから Create > New 'Look At My Hair' Object を実行し、LAMHウィンドウを起動します。以下はそのウィンドウでの作業です。

(3)「select and import objects from Studio」アイコンをクリックして球体オブジェクトを呼び出します。


(4)最初はFOLLICLEモードになっていますので、そのまま毛包の設定をしましょう。今回は球体全体から毛を生やすので「add all follicles」アイコンをクリックします。

球体の全ポリゴンが毛包に指定されました。

(5)ガイドヘアを生やします。STYLINGモードの「grow guide hair」アイコンをクリックします。

球体の全頂点から青いガイドヘアが生えました。

(6)重力で毛が垂れ下がったようにしたいところですが、いきなりブラシでスタイリングするのではなく、デフォーマを使ってだいたいの形に整えます。
「spherize」のスライダをマウスで右端まで引っ張ってから離します。


(7)下半分はこのくらいで良いですが、上半分はもっと垂れた状態にしたいところです。そこで、「select by surface」アイコンをクリックしてclip objectsウィンドウを出します。


上半分でオブジェクトの中心軸を基準にしたクリッピング、下半分でノードによるクリッピングができます。今回は上のリストからTopを選択します。
このウィンドウは出したまま他の作業ができるようになっていますので、必要なくなったら閉じて下さい。
これで下半分のガイドヘアの色が薄くなり、操作対象から外されます。

(8)もう一度「spherize」のスライダをマウスで今度は半分ほど引っ張ってから離します。

上半分だけがより垂れ下がります。

(9)再び「select by surface」アイコンをクリックしてclip objectsウィンドウを出し、「reset clipping」アイコンをクリックして元の状態に戻します。
(10)全体的に良い感じに垂れ下がりましたが、球体の一番上と一番下にあるガイドヘアはちょっと邪魔ですね。今度はブラシでスタイリングしてみましょう。

一番下のガイドヘアは先端を引っ張って真っ直ぐに伸ばしてやりましょう。ブラシサイズが大きすぎる場合は、スペースキーを押している間表示されるオンスクリーンディスプレイの「brush size」スライダで調節できます。

ブラシでガイドヘアをスタイリングする時、青いラインが画面手前方向に向いている状態ではなく、横方向や上下方向へ向くようにカメラを回転させてからにするのがコツです。
(11)一番上のガイドヘアは切って短くしてしまいましょう。Shiftキーを押しながらガイドヘアの先端をクリックしていきます。

※ヘアポイントをうまくクリックできれば、いきなり毛の根元からカットすることもできます。
(12)カメラを回転させてガイドヘアの生え方をチェックしていきます。上から見ると味気ない生え方ですね。

そこで、デフォーマの「swirl」のスライダを右へ3分の1ぐらい引っ張ってから離します。

リム方向へも変化が付きました。

(13)「preview hair」アイコンをクリックしてファーのプレビューをオンにします。そしてカメラを回転させてファーがどのような状態になるかをチェックします。


(14)ガイドヘアの数が少ないので、全体的にカクカクしてますね。「random length」のスライダを4分の1ぐらい右に移動させ、ファーの長さを不均一にします。


(15)さらに縮れ毛エフェクトも入れてしまいましょう。「Frizz tips」のタブをクリックして、intensity、frequency、varianceのスライダをプレビューされたファーを見つつすこしだけ右に移動させます。


(16)最後にファーの色を設定します。LAMHウィンドウ右上のアイコン郡から「setup current hair groups」をクリックして「materials setup」ウィンドウを開きます。

「Color presets」のドロップダウンメニューからTerra Cottaを選択して色のプリセットを適用します。
するとメニュー左の3つの色指定に選択したプリセットの色が設定されます。直接ココをクリックして色を変更することもできます。ちなみに3色あるのは左から毛の根元の色、毛先の色、スペキュラの色となっています。

「update materials and exit」アイコンをクリックして設定を完了します。
(17)DSへファーをエクスポートしましょう。「export hair」アイコンをクリックしてオプションウィンドウを出します。今回はデフォルトのまま出力しました。

(18)DSのウィンドウへ戻り、ライトやカメラを設定してレンダリングするとこんな感じになりました。

うーん、思い描いてたのと違う…。
でもここであきらめないでください!大丈夫です。
(19)ファーを太い毛にしましょう。LAMHウィンドウに戻り、再び「materials setup」ウィンドウを開きます。

上端のアイコン郡の次の列が毛の太さの設定です。
・root thickness | 毛の根元の太さ(micron) |
・tip thickness | 毛先の太さ(micron) |
・w% | 太さのばらつき(0~50%) |
1mm=1000micronなので思い切ってroot 1000、tip 800、w% 30にしました。
「update materials and exit」アイコンをクリックして設定を完了します。
(20)またDSへエクスポートするのですが、毛を太くしたので本数を減らします。今回はオプションダイアログで「hair quantity」に3000を入力してEnterキーを押し、ファーの本数(総数)を変更して出力しました。

(21)DSでレンダリングすると今度はこんな感じです。

存在感が出てきました。最後にDSの方で球体とファーのマテリアルを調整してフィニッシュしました。

ライトはsoftnessを入れたDistantライト(レイトレースシャドウ)1灯と暗部の明るさを上げるためのUberEnvironment2(ソフトAO)を使っています。
実験として毛を細くして100000本にしたものもレンダリングしてみました。

3000本の時のレンダリング時間が49秒なのに対してこちらは11分57秒もかかってしまいました。
毛を細くすると描画がざらざらしてしまうので、Render Settingsタブの設定をpixel samples XYともに8に上げてあります。
今回のツールはこちら
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