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NVIDIA Irayレンダラー その4:レンダリングの設定

Category : Iray Renderer
なんとか毎週続いていますNVIDIA Irayレンダラーの連載、今回はレンダリングの設定についてです。
Render SettingsタブのEngineを「NVIDIA Iray」に切り替えると、3Delightの何倍もある設定項目にまず驚かされます。
ただし、その一部は環境ライトに関する設定だということは第2回でお伝えしました。
それに実際レンダリングのたび(新規シーンを始めるたび)に確認・編集しなければいけない項目は、そんなに多くありません。
今回は、たくさんあるレンダリング設定の中から、注意してもらいたいもの、編集する必要がでるものに絞ってご紹介していきます。

※今回の記事はIray Programmer's Manualを参考にしています。


■Irayレンダラーのモード

Irayレンダラーには2つのモードがあります。

 ・フォトリアルモード(Photoreal Mode)
高性能なグローバル・イルミネーション(GI)レンダリングを行うモードです。
モーションブラー(未実装?)、コースティクス、被写界深度、デカール/ステッカー、ライトパスエクスプレッション(LPE)などの機能はこちらのモードのみです。

 ・インタラクティブモード(Interactive Mode)
進化した近似アルゴリズムを使用し、不要なノイズを最小限に抑えながら写実性を模倣したレンダリングを行うモードです。GIレンダリングではありませんが、フォトリアルモードに近いレンダリング結果になります。
レンダリングにハードウェアの最大パワーを使わないため、シーンのマテリアル、ライティングの調節時のプレビューに適しています。

<インタラクティブモードをフォトリアルモードと比較した相違点>
 ・物理ベースではあるが、アンバイアスではない。
 ・次の機能はサポートされない。
  ボリューム
  ラウンドコーナー
  スペキュラのない屈折。くもりガラスは黒くなる
  モーションブラー
  カスタムマットオブジェクト
  フルのライトパスエクスプレッション
 ・ライトのキャストシャドウフラグ、オブジェクトのキャストシャドウフラグ、レシーブシャドウフラグをサポートする。
 ・ドームが有効になったときのディレクショナルライトとシャドウの挙動
 ・デカールの透明度と影


■主なレンダリングの設定項目

Render SettingsタブでEngine:NVIDIA Irayのときに表示される、Irayレンダラーの設定項目のうち、主なものをご紹介します。

●Editorページ

 ・Render Modeグループ
レンダリングのモードに関する設定です。
・Render ModeIrayレンダリングのモードをフォトリアル(Photoreal)/インタラクティブ(Interactive)から選びます。

 ・Progressive Renderingグループ
プログレッシブ・レンダリングに関する設定です。
・Max Samplesサンプル数(光の反復数)がこの値に達するとレンダリングを終了します(品質基準)。
・Max Time (secs)レンダリング時間がこの値(秒)に達するとレンダリングを終了します(時間基準)。
・Rendering Quality EnableOnのとき、イメージ全体のうち「Rendering Covered Ratio」の範囲が目的の品質に達した場合にレンダリング終了を許可します。デフォルト値でもOffのときよりも高品質になるようです。

 ・Optimizationグループ
レンダリングの最適化に関する設定です。
<フォトリアルモード>
・Architectural Sampler建築物の内部など、間接光の多いシーンに適したサンプラーをオンにします。
・Caustic Samplerコースティクス効果の品質を上げるために専用のサンプラーをオンにします。シーンによってはArchitecturalサンプラーと併用することが推奨されます。

 ・Filteringグループ
レンダリング画像のフィルター(ポスト・プロセッシング)に関する設定です。
<フォトリアルモード>
・Firefly Filter EnableFirefly(ファイアフライ:ライティングの一定の条件下で発生する明るい点)を減らします。
・Noise Filter Enableレンダリング初期の高分散ノイズやレンダリング終了時の低分散ノイズのためのビルトインフィルタをオンにします。ローエンドなCPUでは全体的なレンダリング・パフォーマンスが低下します。
・Bloom Filter Enableブルーム効果(明るい部分から光が漏れ出る効果)を付加します。

<インタラクティブモード>
・Path Space Filtering (PSF)近隣のピクセルから得られたシェーディング結果の選択的な平均により、イメージのノイズを減らします。

 ・Tone Mappingグループ
トーンマッピング(ダイナミックレンジの変換)に関する設定です。
・Tone Mapping Enableトーンマッピングをオンにします。
・Exposure Value現実のカメラで言うところの露光量(EV)。Shutter Speed(シャッタースピード)、F/Stop(F/ストップ)、Film ISO(ISO感度)の組み合わせを1つのパラメータにしたもので、各パラメータと連動します。
・Vignetting現実のカメラで言うところのビネッティング(口径食)。レンズの構造によりフレームの周辺が暗くなる現象です。0でなし、3でコンパクトカメラ相当になります。
・White Pointホワイトバランスの調整ができます。指定した色を白とします。
・Gammaモニタのガンマ値を入力します。


●Advancedページ

 ・Texture Compression
テクスチャの圧縮に関する設定です。
Irayでは使用されるテクスチャ画像に独自の圧縮をかけることで、メモリ使用量を削減しています。「Medium Threshold」、「High Threshold」はそれぞれMedium Compression(低圧縮)、High Compression(高圧縮)を適用するテクスチャサイズの閾値です。

 ・Hardware
レンダリングに使うハードウェアに関する設定です。
Photoreal Deviceでフォトリアルモードでのレンダリングに使うデバイスを選択し、Interactive Deviceでインタラクティブモードでのレンダリングに使うデバイスを選択します。

 ・OptiX Prime Acceleration
レイトレーシングのコードを外部NVIDIA OptiX Prime APIに切り替えます。
GPU使用時のシーン・ジオメトリの更新が早くなるのと、全体のレンダリング時間が短縮される効果が期待できますが、メモリ使用量が増えます。


■トーンマッピングとライトの明るさ

Irayレンダリングはハイダイナミックレンジ(HDR)で行われるので、それを一般的なファイル形式のローダイナミックレンジ(LDR)に変換しなければいけません。それがトーンマッピングで、3DCGにおけるRAW現像とも言えます。

Render Settingsタブにはトーンマッピングの設定項目がたくさんありますが、最初に覚えなければいけないのは「Exposure Value」(EV)だけです。

Irayでは照明としてシーンに配置するダイレクトライト、IBL、サンスカイライトなどを扱うことができますが、それぞれのライトはそのパワーが当然のごとくに違います。
例えば、EV13(初期値)で初期値の明るさのスポットライトとサンスカイライトを使って、それぞれレンダリングしたのが次の画像です。
Iray04 レンダリング EV13

これではスポットライトの方が暗いので、EV10にしたのが次の画像です。
Iray04 レンダリング EV10

今度はサンスカイライトの方が白とびしてしまいました。
つまり、サンスカイライトを使ってレンダリングする場合はEV13あたり、スポットライトなどだけを使ってレンダリングする場合はEV10あたりに設定すれば良いということになります。

ちなみにサンスカイライトのSS Multiplierを1にした場合、EV16~17あたりがちょうど良い露光量になります。
現実のカメラでは晴天のときEV14~16ということですから、やはりSS Multiplierの初期値が0.1になっている(第2回より)のは、他のライトの明るさとの兼ね合いということなのでしょうね。
Iray Programmer's Manualによると、SS Multiplierが0.1(正確には0.10132)、SS Sun Disk Intensityが1の時に晴れの日の太陽の明るさになるそうです。

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