dForce その3:滑らかなドレープを作る方法
Category : dForce
先週くらいに公開されたDAZ Studio 4.10.0.123 Proでは、細かなバグフィックスと一緒にdForceについての機能改善も行われ、クロスが「爆発」するケースが少し減りました。この調子で安定化が進んでいくと良いですね。
さて前回の記事で、dForceのインタラクティブ・レッスンをご紹介しました。そのレッスンを補助する形で、YoutubeのDAZ3Dチャンネルにて「dForce Mesh Modification Tutorial」というチュートリアル動画が公開されています。
今回はそのチュートリアル動画で使われているDAZ Studioの機能についてご紹介します。
■DAZ3Dのチュートリアル動画
YoutubeのDAZ3Dチャンネルにアップされた動画「dForce Mesh Modification Tutorial」は、dForceでクロスシミュレーションしたモデルのドレープ(ひだ)を滑らかに見せるための方法のチュートリアル動画となっています。
その例として挙がっているのは、前回の記事でご紹介した平面オブジェクトと球体のインタラクティブ・レッスンで作成したクロスです。
そのレンダリング結果が次の画像です。

ちょうど輪郭部分のドレープの稜線がギザギザになってしまっています。それに比べて手前に垂れているドレープは滑らかな稜線になっていますね。
それに対して「dForce Mesh Modification Tutorial」の動画に従って処理をしたのが次のレンダリング画像です。

違いは一目瞭然ですね。
まず、最初の画像のようにドレープの稜線がギザギザになる原因ですが、次の2つが考えられます。
(A)ポリゴン数が少ない。
(B)四角ポリゴンを三角ポリゴンに分割する対角線がドレープの稜線と直交してしまっている。
(A)はわかりやすいですね。(B)について、平面オブジェクト(Plane)を構成する四角ポリゴンはレンダリング時に三角ポリゴンに分割されますが、そのために対角線が1本引かれるわけです。その対角線がドレープの稜線方向と並行なら滑らかな山になりますが、直交してしまうとそこが谷になってしまいギザギザ山になってしまいます。
■ドレープの稜線がギザギザになる場合の対処法
●対処法その1:細分割法
(A)については、布化するオブジェクトにSubDをかけてポリゴン数を増やしてやります。
これはおなじみ、オブジェクトを選択した状態でSceneペインのオプションメニューなどからEdit > Geometry > Convert to SubDを実行します。
ドレープの稜線がギザギザでも、ポリゴンが細かければ滑らかに見えるというわけです。

SubDをかけたオブジェクトの物理シミュレーションについては、Simulation SettingsペインのCollision Mesh Resolutionプロパティも関係してきますので、必要であれば設定して下さい。
●対処法その2:対角線切り替え法
(B)については、四角ポリゴンが三角ポリゴンに分割される際に引かれる対角線の方向を変更します。
その手順は次の通りです。
(1)ビューポートの描画スタイルを「Wire Shaded」などに変更して、ポリゴンのエッジが見えるようにします。

(2)Draw SettingsペインのGeneral>Wireframe>Triangulation Wireframe Opacityプロパティを100%に上げます。

これで(実際にはモデリングされていない)対角線であるエッジが見えるようになります。

(3)シミュレーション結果をクリアし、ビューポートのビューセレクタを「Top View」などにして、平面をビューポートいっぱいに表示します。

平面全体に同じ方向の対角線が引かれることがわかります。
(4)メインメニュー > Tools > Geometry Editorを実行し、Geometry Editorツールを装備します。
(5)ビューポート上で右クリックメニューからSelection Type > Polygon Selection、Selection Mode > Marquee Selectionに設定します。
(6)平面を中央から4分割した場合に四隅方向の対角線ではないエリア(右下)を左ドラッグにより選択し、右クリックメニューからGeometry Editing > Rotate Triangulation of Selected Polygon(s)を実行します。

選択ポリゴンの対角線の方向が切り替わります。

(7)左上のエリアについても(6)を実行します。

平面の中央から四隅方向へ向けて対角線が引かれる状態になります。
(8)ビューポートを元の状態に戻して、再度物理シミュレーションを実行します。

ワイヤーフレームを見るだけで、滑らかなドレープになっているのがわかりますね。
***
このチュートリアル動画で出てくるDAZ Studioの機能は以下の2つです。
・四角ポリゴンがレンダリング時に三角ポリゴンに分割される際に引かれる対角線をワイヤーフレーム表示する「Triangulation Wireframe Opacity」プロパティ(Draw Settingsペイン)
・その対角線の方向を切り替える「Rotate Triangulation of Selected Polygon(s)」メニュー(Geometry Editorツール)
■使用例:ベッドの毛布
このチュートリアル動画で示された処理を、毛布に適用してみました。ポリゴンはわざと粗くしています。
まずは処理前のレンダリング画像です。

ドレープの稜線がギザギザなため、影がガタガタにできてしまっています。
対角線切り替え法を行ったのが次のレンダリング画像です。

ギザギザが消えました。
この場合は、一番山が高くなるフィギュアの腰のあたりを中心として対角線の方向を決めています。

さらに細分割法も行ったのが次のレンダリング画像です。

さらに滑らかなドレープにすることができました。
この例のようにどこにドレープができるかわかっていれば、その稜線方向に並行になるよう対角線を切り替えることで滑らかなドレープを作ることができます。チュートリアルではシミュレーションをする前に処理していますが、ポリゴン選択がうまくできるならシミュレーション後に処理してもかまいません。ただし処理前後でシミュレーション結果は若干変わるようです。
アニメーションをさせる場合はどこにドレープができるかわからないので、チュートリアル動画のようにクロスオブジェクトの中央から四隅方向へ対角線が引かれるようにしておくのがおおむね良い結果になりそうです。
さて前回の記事で、dForceのインタラクティブ・レッスンをご紹介しました。そのレッスンを補助する形で、YoutubeのDAZ3Dチャンネルにて「dForce Mesh Modification Tutorial」というチュートリアル動画が公開されています。
今回はそのチュートリアル動画で使われているDAZ Studioの機能についてご紹介します。
■DAZ3Dのチュートリアル動画
YoutubeのDAZ3Dチャンネルにアップされた動画「dForce Mesh Modification Tutorial」は、dForceでクロスシミュレーションしたモデルのドレープ(ひだ)を滑らかに見せるための方法のチュートリアル動画となっています。
その例として挙がっているのは、前回の記事でご紹介した平面オブジェクトと球体のインタラクティブ・レッスンで作成したクロスです。
そのレンダリング結果が次の画像です。

ちょうど輪郭部分のドレープの稜線がギザギザになってしまっています。それに比べて手前に垂れているドレープは滑らかな稜線になっていますね。
それに対して「dForce Mesh Modification Tutorial」の動画に従って処理をしたのが次のレンダリング画像です。

違いは一目瞭然ですね。
まず、最初の画像のようにドレープの稜線がギザギザになる原因ですが、次の2つが考えられます。
(A)ポリゴン数が少ない。
(B)四角ポリゴンを三角ポリゴンに分割する対角線がドレープの稜線と直交してしまっている。
(A)はわかりやすいですね。(B)について、平面オブジェクト(Plane)を構成する四角ポリゴンはレンダリング時に三角ポリゴンに分割されますが、そのために対角線が1本引かれるわけです。その対角線がドレープの稜線方向と並行なら滑らかな山になりますが、直交してしまうとそこが谷になってしまいギザギザ山になってしまいます。
■ドレープの稜線がギザギザになる場合の対処法
●対処法その1:細分割法
(A)については、布化するオブジェクトにSubDをかけてポリゴン数を増やしてやります。
これはおなじみ、オブジェクトを選択した状態でSceneペインのオプションメニューなどからEdit > Geometry > Convert to SubDを実行します。
ドレープの稜線がギザギザでも、ポリゴンが細かければ滑らかに見えるというわけです。

SubDをかけたオブジェクトの物理シミュレーションについては、Simulation SettingsペインのCollision Mesh Resolutionプロパティも関係してきますので、必要であれば設定して下さい。
●対処法その2:対角線切り替え法
(B)については、四角ポリゴンが三角ポリゴンに分割される際に引かれる対角線の方向を変更します。
その手順は次の通りです。
(1)ビューポートの描画スタイルを「Wire Shaded」などに変更して、ポリゴンのエッジが見えるようにします。

(2)Draw SettingsペインのGeneral>Wireframe>Triangulation Wireframe Opacityプロパティを100%に上げます。

これで(実際にはモデリングされていない)対角線であるエッジが見えるようになります。

(3)シミュレーション結果をクリアし、ビューポートのビューセレクタを「Top View」などにして、平面をビューポートいっぱいに表示します。

平面全体に同じ方向の対角線が引かれることがわかります。
(4)メインメニュー > Tools > Geometry Editorを実行し、Geometry Editorツールを装備します。
(5)ビューポート上で右クリックメニューからSelection Type > Polygon Selection、Selection Mode > Marquee Selectionに設定します。
(6)平面を中央から4分割した場合に四隅方向の対角線ではないエリア(右下)を左ドラッグにより選択し、右クリックメニューからGeometry Editing > Rotate Triangulation of Selected Polygon(s)を実行します。

選択ポリゴンの対角線の方向が切り替わります。

(7)左上のエリアについても(6)を実行します。

平面の中央から四隅方向へ向けて対角線が引かれる状態になります。
(8)ビューポートを元の状態に戻して、再度物理シミュレーションを実行します。

ワイヤーフレームを見るだけで、滑らかなドレープになっているのがわかりますね。
***
このチュートリアル動画で出てくるDAZ Studioの機能は以下の2つです。
・四角ポリゴンがレンダリング時に三角ポリゴンに分割される際に引かれる対角線をワイヤーフレーム表示する「Triangulation Wireframe Opacity」プロパティ(Draw Settingsペイン)
・その対角線の方向を切り替える「Rotate Triangulation of Selected Polygon(s)」メニュー(Geometry Editorツール)
■使用例:ベッドの毛布
このチュートリアル動画で示された処理を、毛布に適用してみました。ポリゴンはわざと粗くしています。
まずは処理前のレンダリング画像です。

ドレープの稜線がギザギザなため、影がガタガタにできてしまっています。
対角線切り替え法を行ったのが次のレンダリング画像です。

ギザギザが消えました。
この場合は、一番山が高くなるフィギュアの腰のあたりを中心として対角線の方向を決めています。

さらに細分割法も行ったのが次のレンダリング画像です。

さらに滑らかなドレープにすることができました。
この例のようにどこにドレープができるかわかっていれば、その稜線方向に並行になるよう対角線を切り替えることで滑らかなドレープを作ることができます。チュートリアルではシミュレーションをする前に処理していますが、ポリゴン選択がうまくできるならシミュレーション後に処理してもかまいません。ただし処理前後でシミュレーション結果は若干変わるようです。
アニメーションをさせる場合はどこにドレープができるかわからないので、チュートリアル動画のようにクロスオブジェクトの中央から四隅方向へ対角線が引かれるようにしておくのがおおむね良い結果になりそうです。
Tag : ダイナミッククロス,
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